平成十七年度を振り返って

(フレッシュアップコミュニケーション18年版より)

前学校長 下條 隆嗣

 今春、一六七名の生徒が元気に本校を巣立ち、そして代わりに一六八名の新入生を迎えました。本校は平成十九年度に六十周年を迎えますが、その伝統を保持しつつ、一方で時代に適応すべく少しずつ返信しております。
 平成十七年度は、大きな事故や地震もなく比較的平穏な一年であったといえます。文化研究発表会における合唱コンクールや自由研究・卒業研究の掲示も従来通り継続されております。また、平成十七年度は国立大学の法人化二年目でありましたが、法人化以降、附属学校の点検・評価が明確に位置づけられ、その存在や活動に対する説明責任も以前よりも強く求められるようになりました。
 一方、法人化以降、東京学芸大学では国から大学への運営費交付金の減少に伴い、今後数年間に五十、六十名の教職員の削減を余儀なくされる模様であり、教育研究組織の再編の動きも始まりました。この動きに関連して、本校も遠くない将来により基本的な面での何らかの変動を経験することが危惧されるところです。こうした状況下で、本校は存在意義を世に訴えるためにも、一層、教育力を高め、教育研究を推進する覚悟であります。
 平成十七年度においては、ここ竹早地区にある附属竹早幼稚園・小・中学校が過去三年間以上取り組んできました「主体性を育む幼・小・中連携の教育」についての研究発表会を幼・小・中共同で十一月に開催し、盛会の内に終了いたしました。本校では同名の表題の「研究集録」を発行しました。この研究は今後も継続して参ります。
 平成十七年度末から十八年度始めにかけて、例年のごとく、教員の移動等がありました。個人情報保護の観点から個人名の記述は控えさせて頂きますが、本校に永年勤務された英語担当のI教諭が本学附属高等学校(世田谷)へ、また数学担当のY教諭が本学附属世田谷中学校へ移動し、保健体育担当のI教諭が一身上の都合により退職されました。また新たに英語担当のS教諭、国語担当のT教諭、保健体育担当のY教諭、数学担当のI教諭が本校に赴任致しました。人事交流で他校に一年間出向されていた美術科のA教諭も、K教諭と交代で本校に戻りました。非常勤講師の方々や事務職員についても移動がありました。また本校の理科担当のS教諭は、東京学芸大学連合学校教育学研究科(博士課程)から、本年三月、めでたく教育学博士号を授与されました。
 本校では、帰国生徒を毎年定員十五名の枠で受け入れ、一般生徒との混合教育を実施してきましたが、平成十七年度は本校における帰国生徒の受け入れ開始から三十年目でありました。この間、帰国生徒を取り巻く環境は大きな変容を見せましたが、本校の帰国生徒教育も徐々にその変容に対応して参りました(本校「研究紀要」第44号)。その他、平成十七年度には、入学試験における「抽選」の廃止と「面接」試験の導入、特別教育三教室へのエアコン設置などがありました。
ときどき、同級生の皆様より、ご挨拶状などを賜りまして感激致します。この紙面をお借りして御礼申し上げます。
次の日本をつくる新しい教育のあり方を、教職員一同真剣に求めて参ります。今後ともこれまでと変わりませぬ御協力をお願い申し上げます。