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 「オールドメディアの敗北」という言葉を耳にすることが増えたのではないでしょうか。確かに新聞やテレビは、現代の多様なニーズを満たすには少々重たく、動きも鈍い。その意味で「敗北」と呼ばれるのも理解できます。とはいえ、長年「オールドを駆逐する」と持ち上げられてきたウェブメディアも、冷静に見ればその役割を果たしたとは言い難い。期待された救世主が、案外ただの話題提供者にとどまっている──そんな現実も見えてきます。

 ウェブメディアの強みは明快です。発信者の大小を問わず情報を届けられること。世論を揺さぶる可能性を秘め、紙媒体の制約もない。──にもかかわらず、現場で繰り広げられているのは斜め読み前提の構成や、クリックを誘う見出しの乱立。結果「便利だが胡散臭い」という評価に落ち着いているのです。強みを自ら安売りしているように見えるのは、何とも皮肉な話です。

 だからこそ、改めて考える必要があります。ウェブは斜め読みされてもいいし、写真ばかりでも構いません。大切なのは「そこで何を伝えるか?」「どんな価値を載せるか?」本質を見失ったままでは、敗北するのはオールドメディアに限らない。ウェブもまた、同じ道を辿るだけです。

 私が担当する大学院の講義では「ChatGPTを使ってもよいが、使った箇所を明示せよ」と指導しています。AIの文章には人間の思考とは異なる回路が紛れ込み、誤解を招きかねないからです。AIを拒む必要はありませんが、あたかも「自分が考えた」と錯覚するのは危うい。むしろ「どこで機械を借りたか」を示すことが、現時点で最も知的な使い方だと考えています。その意味では、このウェブサイトのところどころに機械の力を借りていることも告白しなければなりません。

 先日「ChatGPT 5.0」が公開され、その進化の速さには目を見張るものがあります。しかし同時に思うのは、人間が持つ「粘り強く課題に取り組み、最後までやり遂げる力」の価値です。AIは命令に従って答えを返し続けますが、「自ら考え抜き、やり遂げる」力は持ち合わせていない。だからこそ、その力を手放した瞬間に敗北するのは、オールドでもウェブでもなく、私たち人間自身なのかもしれません。

 ここで申し上げたいことは、最新技術に触れる楽しさと同時に、それをどう使うかを問う大切さです。情報があふれる時代だからこそ、技術に振り回されるのではなく、自分たちの力で選び取り、最後までやり抜く。その姿勢こそが、竹中生らしさであり、私たちの誇りであると信じています。

事業部 41期 野島 雅