竹中生の未来への願い

学校長 馬場哲生

 今年も三月に三年生が立派に巣立っていき、四月には元気な新入生を迎えることができました。卒業式では昨年度同様、最後に各学年の合唱が披露され、式場が美しいハーモニーで満たされました。各学年のピアノ伴奏にも拍手! さらに今年は、生徒の入退場時に吹奏楽部による生演奏もありました。入場の音楽がエルガーの「威風堂々」、そして退場の音楽が「蛍の光」でした。三年生が抜けた状態での練習は大変だったと思いますが、立派な演奏を披露してくれました。

 さて、「蛍の光」の原曲はスコットランド民謡 Auld Lang Syne で、旧友と再会して酒を酌み交わしながら旧交を温める様子が描かれています。年明けの瞬間に新年を祝う曲として歌われます。一方、日本語版の歌詞の一番・二番では、ともに苦労して勉学に励んできた学友との別れが描かれており、卒業式の定番ソングとなりました。紅白歌合戦のフィナーレで歌われるなど、年末のイメージもある曲ですね。閉店の音楽としてもおなじみですが、閉店の際には、アメリカ映画『哀愁』の挿入曲をもとにした三拍子版「別れのワルツ」が流れることが多いです。

 「蛍の光」は通常二番までしか歌われませんが、歌詞は四番まであり、三番は国のために尽くすことを求める歌詞、そして四番は日本の各地で国土防衛に努めることを求める歌詞でした。さらに四番の冒頭の歌詞は,日本の領土拡大に伴って次の①~④のような変遷を辿りました。「八洲」(やしま)は日本を表します。

①千島の奧も 沖繩も

八洲の外の 守りなり

②千島の奧も 沖繩も

八洲の内の 守りなり

③千島の奥も 台湾も

八洲の内の 守りなり

④台湾の果ても 樺太も

八州の内の 守りなり こうなると軍歌の様相を呈してきますが、今や三番・四番は封印され、「蛍の光」は別れを惜しむ歌として親しまれています。世界では今も戦乱や紛争が進んでいますが、竹中生の未来は,この歌の三番・四番が復活することのない日本であり続けてほしい、力による現状変更のない世界が実現していてほしいと願っています。